2011年3月31日木曜日

放射能がイギリスへ

3月11日の東日本大震災で福島の原子力発電所から漏れた放射能が、29日に英国に到達した、と新聞が報じた。
日本からの放射能が観測されたのはスコットランド・グラスゴーとオックスフォード州で9600キロの距離を漂ってきたことになる。
観測された放射能は、1986年ロシアのチェルノブイリ原発事故で漏れてやってきた放射能の1万分の1で、健康にはまったく影響のない量だという。
とはいうものの、こんなに離れた国までやってくるほどとは、本国の放射能の影響が懸念される。

2011年3月28日月曜日

ロンドン中心部での大規模デモ行進

     高級百貨店フォートナム&メイソンの屋根には暴徒がたむろし、やりたい放題。
       トラファルガー広場からの風景。デモのため、旗を掲げるひとが多く見られる。
     武装した警察官によるケトリングの真っただ中。ゴミ箱もひっくり返されている。
            メインストリートの真ん中で燃やされるデモの残骸

2011年3月26日土曜日、ロンドン市の中心部で英国労働組合会議(TUC)が主催する大規模なデモ行進が行われた。

デモはイギリス政府の歳出削減に反対する労働者たち(教師や学生、国営医療制度「NHS」のスタッフ、自治体の公務員など)によって行われ、およそ25万人から50万人の参加者が記録された。この参加者数は2003年のイラク戦争に反対するデモ以来の規模。労働者による集会は午前10時ごろからはじまり、深夜にかけて暴徒化した人々と警官隊が衝突。英BBCテレビによると、214人が逮捕され、警官13人を含む66人が負傷した。

正午にはじまったデモ行進。ドラムやクラリネットの生演奏にのせて行われ、活気溢れるものとなった。さらに午後2時から、オックスフォード・ストリート近くの公園、ハイド・パークにて労働党党首、エド・ミリバンドによるTUCの活動を支持する演説が行われ、パレードは平和のうちに終わったかのように思われた。

しかしその後、一部の無政府主義者が暴徒と化す事態に発展。銀行や高級百貨店のフォートナム&メイソン、大手衣料品チェーン、トップ・ショップなどが標的となり、ガラス窓が割られ、カラーボールが投げつけられるなど、一時街はカオス状態に。いつもは観光客やショッピングを楽しむ人々でにぎわうピカデリー・サーカス、オックスフォード・サーカスの大通りは、一般車の交通が全て禁止され、警官とパトカーで埋めつくされた。

夜7時ごろ、警察のケトリング作戦(大量の警官が自ら壁を作り、暴徒の大群衆をひとつの場所に追いやり、狭い出口をひとつだけ残してそこからしか出られなくする策略)により、暴徒はトラファルガー広場に集められた。行き場をなくした人々は、その後も広場に残り、ゴミでたき火をはじめたり、大音量で音楽を流すなどお祭り騒ぎを続けた。最終的に街が静けさを取り戻したのは深夜の3時。大量のデモの残骸を残していったが、暴徒たちも帰途についた。

2011年3月18日金曜日

Metro  被ばく「大したことはない」-原爆経験者は語る

 2011年3月18日のフリ―ぺ―パーメトロは、第二次世界大戦中、長崎で原爆の被害にあった山下和子さんへの今回の震災に関するインタビューを掲載している。

 原爆が長崎に投下されたとき5歳だった山下さんは、現在71歳。原爆の本当の恐ろしさを知る山下さんにとって、東北大震災による原子炉の爆発で、人々がパニックを起こしているのを「大げさ」に感じているようだ。

傷ついた故郷への思い -学生たちにできること-


 写真は、ロンドン在住の日本人学生たちによる東日本大震災支援活動の風景を写したもの。ロンドンの中心地、地元民や観光客であふれかれるトラファルガー・スクエアの広場では、震災以来毎日学生による寄付金の呼びかけが行われている。
 英赤十字社を通しての募金を求めると同時に、下の写真は、被災者に贈る励ましのメッセージを、街ゆく人々に記入してもらっている。
 ロンドンだけでなく、イギリス国内のあらゆるところで、日本を助けようとする学生たちの運動が始まっている。イギリス西部に位置するブリストル大学の学生は、友人たちを誘い、手製のケーキやスナックを大学内のホールを借りて販売し、その売り上げを全額被災地へ送る活動を今週末に行う予定だ。
 

The Sun紙 がれきに埋もれた母親を‥

  

2011年3月17日、ザ・サン紙に掲載された1枚。がれきに埋もれた母親の遺体の手を握りしめるムラカミ・ヨシエさん。ムラカミさんは、3月11日の大津波以来、23歳の娘さんも行方不明になっている。

2011年3月17日木曜日

2011年3月16日水曜日

福島原発事故 日本は2年前に警告されていた

2011年3月16日 タイムズ紙

 タイムズ紙によると、イギリス時間15日夜、ウィキリ―クスは日本は2年前に、国連の核監視機関から原子力発電所の安全規定の見直しを促されていた、と明らかにした。

 日本はこれに性急に対応しなかった結果、今回の原発事故に至ったのではないかと、海外メディアではささやかれている。ヨーロッパエネルギー大臣はEUにある143の原子力発電所で、今年末までに耐久テストを実施することを発表した。イギリスでは日本のような大地震は起こらないものの、異常気象から生じる災害を受ける可能性は十分にあるため、検査を行う必要があるとしている。イギリスでは合計10あるうちのひとつの原発が2023年までに閉鎖される予定で、その代わりの原子炉が2018年、サマーセットに建設されることになっている。

 原子力専門アドバイザーのジーン・マクソ―リ―は、福島の原発は、最悪の事態に対応できるようなバック・アップ用の冷却装置の設置を怠っていたと指摘し、環境保護団体グリーンピースに注意を促している。イギリスは日本の原発の盲点を手本とし、より安全な発電所を築く意気ごみのようだ。

東日本大震災 経済面への影響




2011年3月16日 タイムズ紙

 タイムズのビジネス欄によると、ヨーロッパ最大の石油企業であるロイヤル・ダッチ・シェルは、今回の東日本大震災をうけ、日本への天然ガス流用を発表した。

 この緊急資源援助の影響により、ヨーロッパ全体のの電気料金はさらに値上がりすることが予想されている。日本のガス需要により、イギリスのガス価格の高価も余儀なくされると見られており、今年冬のガス卸売価格は、1サ―ムあたり74ペンス(約100円)ほど値上がりし、200810月以来最高額を記録することになる。

 ロイヤル・ダッチ・シェルの財務部長、サイモン・ヘンリー氏は、「今回の日本へのガス流用を含め、これ以上アジアへの輸出が増えれば、ヨーロッパ全体のガス価格が上がることはあっても、自社が利益を出すことはまずありません。この影響を受け、これから23年はアジアとヨーロッパでかなり厳しいガスの節約が必要となってくるでしょう。」と発言している。

 また、震源は日本の工業中心地ではなかったものの、自動車や技術系の大企業の生産の中止または縮小により、海外企業に出る影響もかなり大きなものになると言われている。とくにイギリスに次いで日本が最大の投資資本であるアメリカは、多大な利益の損失が見込まれており、震災直後トヨタの12の工場が生産を中断したため、株価は7.4%暴落し、その後の毎日の損失は$72にも昇るという。ソニーやパナソニック、富士通なども地震と津波の影響で業務の縮小をしており、世界的に大きな損失を出すことは間違いないだろう。

 そんな中、任天堂は327日に予定される最新の携帯ゲーム機3DSのアメリカでの発売は影響されることはなく、ストックも十分にあると発表している。

東日本大震災 地震の影響で地軸が移動

2011年3月16日 サイエンス・デイリー

 アメリカのオンラインサイエンスマガジン、サイエンス・デイリーは、東日本大震災の影響で地軸が動き、一日の長さがわずかに短くなった可能性があると発表した。

 研究科学者のリチャード・グロス氏は、1900年以来、5番目に大きなこの東日本大震災が、どのように地球の自転に影響を及ぼしたのかを説明している。今回の地震は、地球の回転をわずかに速くし、1日の長さを1.8マイクロ秒短くしたという。また、地軸は東経13317センチ移動したそうだ。

 グロス氏の過去の計算によれば、昨年のマグニチュード8.8のチリ地震では、一日は1.26マイクロ秒短くなり、地軸が8センチ移動したとしている。2004年のスマトラ地震では、6.8マイクロ秒、7センチ。「地球の回転は地震の影響だけでなく、大気風や海流によっての方が大きな変化を見せます。1年を通して、一日の長さは今回の日本の地震の550倍もの力で長くなったり短くなったりしているし、地軸も1メートルも動いているのです。」

 このような地震による微々たる時間や地軸の変化は自然なことで、人々の日常生活に支障をきたす可能性はない、とグロス氏はかたっている。

東日本大震災 英国タイムズ紙―日本人の冷静さに隠された本心―

2011年3月16日 タイムズ紙

 これだけの大災害にみまわれながらも国民がパニックに陥るのを最小限に収めたとして、日本のメディア、また冷静さを保つ国民性を称賛する声が世界中から届いている。しかし、それは今回の災害のたった一面しか見ていないのではないか、とタイムズ紙のジャーナリスト、レオ・ルイスは疑問を投げかける。

 15日、夜の有楽町。ルイス氏はその不自然なまでにいつもと変わらない東京の風景の中に、不思議な気持ちで立っていた。通常営業する床屋には3人の客が入り、パチンコ店からもにぎやかな音が聞こえてくる。ルイス氏のは、この静けさは、心の中の本当の恐怖を隠すための仮面に過ぎないのではないか、と分析する。

 一部では普段の日常を取り繕ったかのように見える一方、東京の大型電気店はもはや、「防災グッズ」専門店と化し、薬局からは、放射能を除去すると噂される(イソジンなど)ヨード剤の入った製品は完全に売り切れの状態。電力節約のため、銀座の数寄屋橋交差点にある有名ブランドビルのネオンサインも消されたままだ。日常と違う異常事態を、東京の住民全てが感じ取っていないはずがない。防災用品や食糧、トイレットぺーパー、電池などの日用品を求めて争う人々が出てくるのも、もう時間の問題なのかもしれない。

 一見、異様なほど冷静に見える日本国民のポーカーフェイスの裏に隠されているのは、表面だけでも普段通りに振る舞わなければ、本当の不安や恐怖に飲みこまれてしまうという、一種の強迫観念なのではないだろうか?

 とくに福島の原発事故により、関東でも被ばくの可能性があると発表されて以来、東京住民の内なる漠然とした恐怖は、確実にに現実のものへとなっている。

 原子力空母を保持する神奈川県横須賀市の米海軍では、基地内で外にいる時間を少なくし、家の通気口は塞ぐようにとの勧告が出された。また、各国の大使館からも、日本在住の者は可能な限り帰国するよう指示をしている。

タイムズ紙 被爆したときのサバイバルフード

2011年3月16日タイムズ紙 

 被爆による甲状腺がんの発症は、今もなお人々の記憶に焼きつくチェルノブイリ原子炉事故が引き起こした、もっとも悲惨な影響だ。東日大震災による福島原子力発電所のあいつぐ爆発で、放射能漏れが大きな問題に発展する中、日本当局は放射能から発がん性物質を取り除く、ヨウ化カリウム錠を配布している。

 15日、今回の原発事故の影響で放射能が広がる可能性のあるロシア、西部カナダ、アメリカでも、同類の薬が売り切れるという現象が起きた。アメリカのオークションウェブサイトebayでは、なんと14人が$540(約43千円)という額でのこの錠剤に入札をしたという。

 チェルノブイリの原発事故後、牛乳に含まれる放射能に敏感になっていたイギリス国民にとっても、今、ヨウ素を多く含む食品というのは、知っておきたいところ。イギリスではおなじみのタラはヨウ素が豊富。タラ寿司なんて、いかがだろうか。また、髪の毛の栄養補給にも効果的な海藻は、ヨウ素塩をたくさん含んでいる食品のひとつ。ほかにもチェダ―チーズ、練乳なども良いと言われている。イギリスの製菓会社マクビティーのヒット商品、クッキーにオレンジソースを含ませ、チョコレートでコーティングしたジャファケーキも、ある筋によればヨウ素を多く含むとのこと。しかし、マクビティー側は今のところ肯定も否定もしていなく、調べてみないとわからない、とコメントを残しているようだ。

 さて、今夜、どれだけのイギリス国民が海藻入りフィッシュパイ(イギリス伝統の家庭料理)をメインに、ジャファケーキをデザートに食べるのだろうか。

2011年3月15日火曜日

東日本大震災 イギリスの報道


 2011年3月11日、午後14時46分、M8.8 の大地震が三陸沖を直撃した。それに伴う津波による被害、断続的な余震に襲われながらも、日本国民は心をひとつにして一歩一歩、回復の道へと確実に前進している。
 日本国内ではもちろんのこと、世界中でも、地震以来、震災の被害状況が報道されないことは一日たりともない。イギリスの新聞でも、このニュースを毎日一面で大きく扱っている。
 今日は、イギリス各紙がどのように東日本大震災を報道しているかを、まとめて紹介したい。

The Independent 13-Mar-2011

 英インディペンデント紙は、地震の被害状況、原子力発電所の爆発による放射線被ばく者の数などを詳しくまとめ掲載している。また、2面を使い、今回の地震の特性、各都道府県で出ている被害者の数、震源地の正確な位置などをカラー地図とともに詳しく分析。一面には、日の丸とともに、Don’t give up, Japan Don’t give up, Tohoku のメッセージが。

Daily Mail 12-Mar-2011

 英国でもっとも長い歴史を持つデイリー・メール紙は、宮城県岩沼市の津波被害写真を一面に大きく掲載。10ページにわたり特集を組んで、衝撃的な写真とともに津波と原子力発電所の爆発による深刻な被害を伝えている。特集は、デイリー・メールのジャーナリスト、ロバート・ハードマンによる自然災害の恐ろしさ、それを突如として突きつけられたときの人間のもろさを語る記事でしめくくられている。

The Sunday Telegraph ビジネス欄 13-Mar-2011

 英サンデー・テレグラフのビジネス欄は、東日本大震災とそれにともなう津波の被害を受け、トヨタ、ホンダ、日産、ソニーなどの日本の大企業が続々と生産の中断を余儀なくされていることを報告している。さらなる被害が予想される中、震災支援資金の提供による日銀への負担もますます大きくなり、災害による日本の経済状況悪化は免れられないだろうと伝えている。

The Times 12-Mar-2011

 英タイムズ紙もまた、一面を含む計7ページを震災の被害状況報告に割いている。111446分に起きた地震から、その直後の津波警報などのタイムラインの詳細を紹介。内面では2ページにわたり、地震を体験した人々の生の声を届けている。また、地震直後の人々の連絡手段として、フェイス・ブックやツイッターなどのSNSが有効に利用されたとことも取り上げている。

Metro 14-Mar-2011

 英フリ―ペーパーのメトロは、津波に巻き込まれ、福島沖15キロで流された自宅の屋根の上に乗り漂流していた新川広光さん(60)が無事救助された、という明るいニュースを3面に載せている。また、原子力発電所の爆発にともなう原発事故の被害は、1986年に起きたチェルノブイリほど深刻なものではなく、日本は最悪の事態は免れるだろうと報告している。

The Sunday Telegraph 13-Mar-2011

 英サンデー・テレグラフは、宮城県気仙沼市と南三陸町を2万人が行方不明、流されたふたつの町として、被害写真を大きく掲載している。地震と津波による被害を、「映画の中のような光景」とし、災害の悲惨さをものがたっている。また、未だ連絡の取れない日本在住の家族を心配する声が、イギリスからも数多くあがっているようだ。

The Observer

 英オブザーバー紙は、地震後の原子力発電所爆発により予想される被害の大きさを詳しく取り上げている。仙台市民を中心とした被災者の生の声も多く掲載されている。地震大国日本と言われるものの、今回の地震と津波による被害、また原発への不安など、国民の心が休まるまでにはまだ時間がかかりそうだ。



 このような大災害の渦中にあったとしても、冷静さ、礼儀正しさ、譲り合いの心を忘れない日本人の国民性をほめたたえるコメントが、世界からたくさん届いている。
 デイリー・テレグラフのジャーナリスト、ウィリアム・ホースレイは、
「今回のような恐ろしい災害を受け、いかなるとき、どんな状況でも社会秩序を保つという日本人の素晴らしい特性が、ますます浮き彫りになった」
と、災害に対する日本人の対応をほめたたえている。

 まだまだ道のりは長いと思うが、ロンドンからも日本が一日も早く元の平和な日常を取り戻せるよう、応援している。