2010年3月11日木曜日

ロンドン・ファッション・ウィーク


 

 世界各地で行われる、年に2回の「ファッション・ウィーク」。4大ファッション都市のニューヨーク、ロンドン、ミラノ、パリを中心にデザイナーたちがショーやプレゼンテーションを通じて新シーズンのコレクションを発表します。デザイナーはもちろんのこと、モード界のマスコミやバイヤーにとってもかなり重要なイベントです。
 中でも、去年25周年を迎えたロンドンのファッション・ウィークは、「才能ある若手デザイナーの宝庫」と呼ばれるほど、多くの新人デザイナーが発表できる場。たとえば、ブリティッシュ・ファッション・カウンシルの「ニュー・ジェネレーション」と呼ばれるスキームでは、若いデザイナーにショーの費用を提供するなど、積極的に新人をサポートしています。ちなみにニュー・ジェネレーションが輩出したデザイナーにはMatthew WilliamsonやChristopher Kaneなど、今では世界的に有名なデザイナーが多数。

 さて、そんなアップカミングなデザイナーたちであふれるロンドン・ファッション・ウィークをGBロンドン支社が取材して参りました!


 今回のファッション・ウィークは、2010年秋冬コレクション。場所はロンドン中心部、ストランドにあるサマーセットハウス。

 会場を大きく3つに分けると、ファッション・ショーのキャットウォーク、エキシビション・スペース、そしてプレゼンテーション・ルームです。

キャットウォーク

 ファッション・ウィークのメインイベントは、やはりファッション・ショー。キャットウォークで発表できるブランドはブリティッシュ・ファッション・カウンシルの厳しい審査で認められたもののみ。また、ショーを観るためにはブランドからの招待状が必要で、人気ブランドの場合は有名ファッション・ジャーナリストやセレブ、バイヤーが優先される。

 そんなコンペティティブな招待状争いにやぶれたGBロンドン支社は、泣く泣くエキシビションだけ取材しようと思ったのですが‥

 ラッキーなことに、ショーに入ることができました! というのも、迷子のファッション・ジャーナリストを会場まで案内したことがきっかけ。「チケット、もう1枚あるからいっしょにいかない?」というお誘いを断るわけもなく、JENA.THEOのショーを観ることができました!



 その恩人がこの人。ロンドンに越して来てたった3カ月のブラジル人のナターリアさん。ファッション誌・ロフィシェル、ブラジル版の元ファッション・エディター。ファッション界にちょっと嫌気がさしてきたので、ロンドンで自分探しをしているとか。

 話がそれてしまいましたが、JENA.THEOは2009年、ドナテッラ・ヴェルサーチや代表的ファッション・ジャーナリストのコリン・マクダウェルがジャッジを勤める「ファッション・フリンジ」というコンテストで優勝した、注目の新人です。

 今回、JENA.THEOが重視したのは、「新たなシルエット」を作ること。生地をふんだんに使ったバルーンスリーブや、裾が床まで垂れ下がるセーターなど、オーバーサイズなシルエットが目立ちました。




また胸のすぐ下までくる、スーパーハイウェストのパンツやだぶだぶのオール・イン・ワンはモデルさんが着ている分にはかっこよかったのですが、日本人の大半は竹馬にでも乗らない限りちょっと着こなしが難しそうです。とはいえ、オーバーサイズは秋冬のキートレンド。コーディネイトのヒントにはなりそうなコレクションでした。



 

ちなみにJENA.THEOは、「ライブ・ストリーミング」に参加したブランドのひとつ。ネット上でショーのリアルタイム映像が観られるライブ・ストリーミングは、今季からロンドンのみで開始。一般の人でもショーの様子が覗けるようになり、今まで以上のスピードでブロガーたちがショーのリポートをアップしていました。カリスマブロガーがフロントロウに並ぶ時代、これからもファッション界のインターネット化は進みそうです。


エキシビション

 ファッション・ウィーク中はサマーセットハウス内のほとんどがエキシビション・スペースに変身します。無数のブランドがそれぞれブースを設け、コレクションのディスプレイをするのがエキシビション。





 主にブランドがターゲットしているのは世界中から集まるバイヤーたち。洋服だけでなく、アクセサリーや下着、小物まで、とにかくたくさんのアイテムが展示されます。中でも印象に残ったブランドをいくつか紹介します。

Sia Dimitriadi

 スコットランド生まれのデザイナーが手掛けるキプロスのブランド、Sia Dimitriadi。ご覧の通り、レースやフリルをたっぷり使ったかわいい系の服ばかり。どう見ても「ネグリジェ」というようなふりふりワンピは春夏の「下着風」トレンドでも使えそうです。すでに日本にも進出しているそうですが、ロリータにはウケがよさそうですね。 

Mark Fast

 ロンドン・ファッション・ウィークに行った限りは、New Generationの若手デザイナーを見ずには帰れません。ロンドンだけでなく、世界的に評価されているMark Fastは、ニットとボディコン、そして太ったモデルが専門のブランド。

 どういうことかというと、2010年春夏コレクションのショーで、Mark Fastはサイズ14(日本の15号くらい)のぽっちゃり体系のモデルにピチピチのニットワンピを着せ登場させたのです。それが話題になり、今年もまったく同じことをしたのですが‥



残念ながらエキシビションでは「撮影禁止!」といわれてしまいました。間近で見ると服がかなり小さくて、驚きました。ショーで使ったコレクションがそのまま展示される場合がほとんどですが、どのようにしてあれと同じものをあのモデルたちが着たのか、謎です。ニットは伸びるとはいえ、限度があるような‥


 
それはさておき、Mark Fastの魅力は、細かなディテール。手に取って見ると、編み目ひとつひとつがどれほど繊細なものかがわかります。まさに職人技という感じです。秋冬のトレンドは、ボディコンというよりはゆったりしたラインが流行りそうですが、Mark Fastだけは例外になるかも。

Piers Atkinson

ここ数年、ヘアアクセサリーがブーム中のロンドンですが、Piers Atkinsonの帽子(?)はかなり特殊です。




ちょっと「普通」とは違いますよね。ロンドンのファショニスタ、とくに若者たちは好奇心があって、さまざまなスタイルにチャレンジしています。こういう帽子だって、クラブ(とくにアーティーな東ロンドンの)で見かけても決して珍しくありません。ロンドンらしい遊び心があっていいのでは? 

Feet Fairies


 
こちら、折りたたみ式のパンプスです。小さくて軽いので、携帯するのに便利! ヒールを履いて出掛ける日にぜひ。珍しく実用的なものが展示されていたので、紹介してみました。

Ginta


  ロンドンのジュエリー・ブランド、Ginta。ひとつひとつが手作りという商品もユニークでしたが、真っ赤なコーディネイトのデザイナー本人がかなり目立っていました。


プレゼンテーション

 ファッション・ショーの代わりに、プレゼンテーションで発表するデザイナーはたくさんいます。今回はテキスタイルで有名なOrla Kielyのプレゼンテーションを覗いてきました。ショーよりも近くで服が見られ、エキシビションと違って実際に着たときの姿が見られるので、プレゼンテーションでの発表が一番わかりやすく感じました。






  ドールハウスのようなセットをバックに、60年代風のスウィングコートや、大きなリボンのついたワンピース、Aライン・ドレスなどが次々と登 場。もちろん、プリントものや定番のバッグもたくさん。色合いはキャメルやからし色、チャコールなどで秋らしいコレクションでした。

最後に‥

GBロンドン支社より、メッセージを残してきました!




 以上、ロンドン・ファッション・ウィークのリポートでした! 次回のファッション・ウィークは、2010年9月の春夏コレクションです。今度こそ、ショーへの招待状をゲットしたいものです。

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