2011年3月15日火曜日

東日本大震災 イギリスの報道


 2011年3月11日、午後14時46分、M8.8 の大地震が三陸沖を直撃した。それに伴う津波による被害、断続的な余震に襲われながらも、日本国民は心をひとつにして一歩一歩、回復の道へと確実に前進している。
 日本国内ではもちろんのこと、世界中でも、地震以来、震災の被害状況が報道されないことは一日たりともない。イギリスの新聞でも、このニュースを毎日一面で大きく扱っている。
 今日は、イギリス各紙がどのように東日本大震災を報道しているかを、まとめて紹介したい。

The Independent 13-Mar-2011

 英インディペンデント紙は、地震の被害状況、原子力発電所の爆発による放射線被ばく者の数などを詳しくまとめ掲載している。また、2面を使い、今回の地震の特性、各都道府県で出ている被害者の数、震源地の正確な位置などをカラー地図とともに詳しく分析。一面には、日の丸とともに、Don’t give up, Japan Don’t give up, Tohoku のメッセージが。

Daily Mail 12-Mar-2011

 英国でもっとも長い歴史を持つデイリー・メール紙は、宮城県岩沼市の津波被害写真を一面に大きく掲載。10ページにわたり特集を組んで、衝撃的な写真とともに津波と原子力発電所の爆発による深刻な被害を伝えている。特集は、デイリー・メールのジャーナリスト、ロバート・ハードマンによる自然災害の恐ろしさ、それを突如として突きつけられたときの人間のもろさを語る記事でしめくくられている。

The Sunday Telegraph ビジネス欄 13-Mar-2011

 英サンデー・テレグラフのビジネス欄は、東日本大震災とそれにともなう津波の被害を受け、トヨタ、ホンダ、日産、ソニーなどの日本の大企業が続々と生産の中断を余儀なくされていることを報告している。さらなる被害が予想される中、震災支援資金の提供による日銀への負担もますます大きくなり、災害による日本の経済状況悪化は免れられないだろうと伝えている。

The Times 12-Mar-2011

 英タイムズ紙もまた、一面を含む計7ページを震災の被害状況報告に割いている。111446分に起きた地震から、その直後の津波警報などのタイムラインの詳細を紹介。内面では2ページにわたり、地震を体験した人々の生の声を届けている。また、地震直後の人々の連絡手段として、フェイス・ブックやツイッターなどのSNSが有効に利用されたとことも取り上げている。

Metro 14-Mar-2011

 英フリ―ペーパーのメトロは、津波に巻き込まれ、福島沖15キロで流された自宅の屋根の上に乗り漂流していた新川広光さん(60)が無事救助された、という明るいニュースを3面に載せている。また、原子力発電所の爆発にともなう原発事故の被害は、1986年に起きたチェルノブイリほど深刻なものではなく、日本は最悪の事態は免れるだろうと報告している。

The Sunday Telegraph 13-Mar-2011

 英サンデー・テレグラフは、宮城県気仙沼市と南三陸町を2万人が行方不明、流されたふたつの町として、被害写真を大きく掲載している。地震と津波による被害を、「映画の中のような光景」とし、災害の悲惨さをものがたっている。また、未だ連絡の取れない日本在住の家族を心配する声が、イギリスからも数多くあがっているようだ。

The Observer

 英オブザーバー紙は、地震後の原子力発電所爆発により予想される被害の大きさを詳しく取り上げている。仙台市民を中心とした被災者の生の声も多く掲載されている。地震大国日本と言われるものの、今回の地震と津波による被害、また原発への不安など、国民の心が休まるまでにはまだ時間がかかりそうだ。



 このような大災害の渦中にあったとしても、冷静さ、礼儀正しさ、譲り合いの心を忘れない日本人の国民性をほめたたえるコメントが、世界からたくさん届いている。
 デイリー・テレグラフのジャーナリスト、ウィリアム・ホースレイは、
「今回のような恐ろしい災害を受け、いかなるとき、どんな状況でも社会秩序を保つという日本人の素晴らしい特性が、ますます浮き彫りになった」
と、災害に対する日本人の対応をほめたたえている。

 まだまだ道のりは長いと思うが、ロンドンからも日本が一日も早く元の平和な日常を取り戻せるよう、応援している。




2010年12月23日木曜日

今年最後のジャンル別ベストセラー 2010

ニューヨーク・タイムズ、今年最後のベストセラーです。

単行本 フィクション部門

トム・クランシー 著「デッド・オア・アライブ」

Dead or Alive by Tom Clancy

単行本 ノンフィクション部門

ジョージ・W・ブッシュ著 「決断の時」

Decision points by George W. Bush

文庫本 トレード フィクション部門

スティーグ・ラーソン著 「ドラゴンの刺青を持つ少女(仮)」

The Girl with the Dragon Tattoo by Stieg Larsson

文庫本 マス・マーケット フィクション部門

ダン・ブラウン著 「ロスト・シンボル」

The Lost Symbol by Dan Brown

文庫本 ノンフィクション部門

アレクサンドラ・ホロウィッツ著 「インサイド・オブ・ア・ドッグ」

Inside of a Dog by Alexandra Horowitz

絵本部門

バラク・オバマ著、ローレン・ロング絵 「オブ・ジ―・アイ・シング:私の娘たちへの手紙」

Of Thee I Sing by Barack Obama. Illustrated by Loren Long

マンガ部門

樋野まつり著 「ヴァンパイア騎士」

Vampire Knight by Matsuri Hino

池田晃久 著「ロザリオとヴァンパイア:シーズン2」

Rosario+Vampire: Season , Vol3 byAkisha Ikeda

久保帯「ブリーチ Vol.33

The Bleach Vol.33 by Tite Kubo

2010年7月10日土曜日

パリのジャパン・エキスポ















今月1日から4日、フランスのパリでジャパン・エキスポが開かれました。このエキスポは、日本マンガやアニメ、ゲーム、音楽などのポップカルチャーをはじめ、伝統的な空手、弓道や茶道まで、ありとあらゆる日本の文化を楽しもうというイベントです。去年は16万人以上が訪れたジャパン・エキスポ、イギリスのMCMエキスポと比べて半端ない規模、盛り上がりで今年も賑わってました!


目立っていたのは、ナルトやブリーチ、ワンピースのコスプレイヤー。ジャンプ系は世界各国どこでも人気です。あと意外だったのが、ヴァンパイア騎士と黒執事。19世紀のイギリスを舞台にした黒執事は、あくまで『日本人が思い描くヨーロッパ像』を体現したマンガで歴史に忠実というわけではないので、フランスで受け入れられているのはちょっと不思議? その後、コンテンツメディアプロデューサーの桜井孝昌氏が司会を務めたトークショーで、「(黒執事のような)世界観はむしろオリジナリティがあっておもしろい」という意見がファンから出ていて納得。あらゆる要素を詰め込んだ日本のポップカルチャーのごちゃまぜ感がプラスに働いているようです。ゴシックファッションも魅力のひとつ。フランスのジャパンファッション好きは、オトナとコドモを合わせたコドナスタイル(フランスの造語らしい)がお気に入りです。











びっくりしたのは、フランス人のオタク上級者っぷり。ライブでは歌に合わせてペンライトや手を振って動かす、いわゆる「オタ芸」を披露していたし。モーニング娘。のトークショーでは「あいちゃーん」とかけ声をかけていたし。海外のオタクってどうやってこういうこと覚えてくるんでしょう? 日本独特の『アイドル』という文化がフランスでこうしてちゃんと理解されてるのが不思議です。伝道師みたいな人がいるんでしょうか。「オタクとはこうあるべき」を説いた『オタクの道』みたいなテーマの本があったら売れるかも(笑)。









意外に人を集めていたのが、紙芝居を披露していた漫画家学会の方々。「カミシバイ?なにそれ?」という感じでよくわかっていなかった人たちも、紙芝居師がしゃべり始めた途端に態度が一変。よく通る七色の声にみんな圧倒、聞く人を引きつける読み聞かせに立ち止まる人たちが続出しました。みんな興味津々で写真を撮ってました。マンガの原点ともいえる紙芝居のおもしろさがフランスのファンにも伝わるんですね。ちょっと感動。

海外のイベントで恒例のFree Hugsはジャパン・エキスポでも健在でした。意味は「ハグ0円」。Free Hugsは海外のオタクたち同士のあいさつという感じで、見知らぬ他人にも気軽にハグします。もっとイっちゃってる人たちは、Free KissだのFree Sexと書かれたプラカードを持ってました。オタク同士で盛り上がろう!という気持ちの現れなんでしょうが。まさか本当にやらないよね?

今回エキスポを見て、イギリスよりもフランスの方が日本文化に興味と理解があるなと感じました。でもフランス人のファンも日本人と同様、新しいコンテンツをいち早く手に入れたがっていることには変わりありません。常におもしろいコンテンツを発信すること、それをちゃんとしたビジネスとして成り立たせていくのが今後の日本の課題ではないでしょうか。

2010年6月8日火曜日

女王陛下の誕生日パレード




毎年6月になると、ロンドンではエリザベス女王の誕生日を祝うパレード「Trooping The Colour」が行われます。これは“公式の”女王陛下の誕生日を祝し、近衛兵が戦勝旗を持って行進するという大変愛国的なイベントです。捧げ持った赤い旗には、ワーテルローとかダンケルクといったイギリスが歴史的大勝を記録した戦いの名称が金糸で縫いとられています。正直、イギリスではこういう愛国的な催しはめっぽう多いのですが、もし日本でこんなことをやったら大変なことになるなあーと思ってしまいます(天皇の前で「硫黄島」とか「パールハーバー」とか「レイテ島」とか書いた旗を捧げ持って…なんて想像するだに恐ろしい)。



さて、本番は6月12日なのですが、5月29日と6月5日に予行演習をし、そのときにも観客を入れて入場料をとり、国家はちゃっかりビジネスをしています。今回は6月5日に見に行きましたがその時にはエリザベス女王は来なかったものの、夫であるエディンバラ公爵(日本ではフィリップ殿下の呼び名が有名)が来ていました。写真の、馬車に乗った人がご本人。もう80代のご老体、なんだかちょっとお気の毒でした。
さて、ロンドン子によればこのトゥルーピング・ザ・カラーの隠れた見どころがあるとか。それは、炎天下での2時間近いパレードで、近衛兵の中で必ず貧血で倒れる者が出る、という伝統。そう、近衛兵といえども当世の若者であることにかわりなく「前の晩飲みすぎて翌日気持ちが悪くなる不届き者が必ず出るよ」
はたして当日、この予言通り、式典半ばで一人の近衛兵が貧血を起こし、両脇を同僚に抱えられて退場する姿が目撃されたのでした。
ちなみに近衛兵のこの大きな黒い帽子はもともとはクマの毛皮だとか。暑いときには本当に大変。お役目ごくろうさま、といいたくなりました。また、馬に乗った衛兵のパレードでは、機嫌の悪い馬が首をぶんぶん回したり、糞をぼたぼた落とす姿を目撃! まあ、生き物ですから、王族の前であろうと観客の前であろうと、自然体です。でも騎手はちょっとばつが悪いかもしれませんね。

2010年6月5日土曜日

チェルシー・フラワーショウ










5月26日に、恒例のチェルシー・フラワーショウの取材に行ってまいりました。長いおつきあいのある版元さんから急きょの依頼でカメラマンと現場に急行。なんとかインタビューと撮影をすることができました。

園芸の国イギリスは、フラワーショウといって、花や庭園デザインを展示する催しが大人気。中でもチェルシーは1913年に始まって以来、約1世紀におよぶ伝統を誇る、権威あるエキシビションです。

毎年前売り券もすぐに売り切れ、ゲートには当日券ならぬキャンセル券(連れが来られなかった人が売りに来る)を待つ長い列ができるほど。
今回はプレスパスで入場、日本から出展の庭園デザイナー・石原和幸さんを取材しました。

石原さんはチェルシーの常連で、何度も金メダルを取っていらっしゃる、日本屈指の庭園デザイナー。
今回は残念ながら銀メダルではあったものの、初日にはエリザベス女王が庭園を訪れ、ダイナミックに滝が流れる苔むした日本庭園に驚嘆、「あなたはまるで魔法使いみたいね!」とおっしゃったそうです。

ちなみに今回一等金メダルを受賞したのは、中央にオブジェをあしらった「地中海風庭園」でした。イギリスでは、細かく小さな花があちこちに群生している庭園が人気があります。






2010年6月3日木曜日

「首相は優柔不断なエイリアン、小沢は『影の将軍』」



また…ですか。そう思っているのは、日本人だけではありません。もはや「毎年の恒例」と化している日本の首相辞任ですが、今回のニュースはこんな見出しで登場しました。

「日本の『エイリアン』首相、米軍基地の約束破り、辞任する」

6月2日のイブニングスタンダード紙によるこの記事。「米軍基地移設の失敗を受け、優柔不断な首相のイメージがさらに悪化…過去4年の間に辞任した首相は、彼が4人目」また「国民からは、エキセントリックで親しみにくい『エイリアン』と呼ばれている」さらに「小沢一郎幹事長は『影の将軍』だった」などと報じられました。ちなみに、BBCも「影の将軍道連れ」などと報道し、日本でも話題を呼んでいるようですが…。

今朝のメトロ紙では元首相の「趣味の悪い」シャツが「340ポンド」もするとか、しないとか…ほかにも、タイムズ紙は「スキャンダルと不評が続き、優柔不断な日本の首相が辞任」テレグラフ紙は「たった8ヶ月で辞任」、「首相は優柔不断だった」など。当然のことながら、かなり批判的です。金曜には新しい首相が決まるとのことですが、がんばれ、ニッポン…円安は困ります。

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